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優しさの在処

[3月のライオンchapt.19(単行本01巻・白泉社特集page)]を購読した(以下、ネタバレにご注意あれ)。

『遠雷(その03)』が語られるにせよ新たな雷撃が用意されるかと予想したが、結局松永先生が『うなぎ02段丼4,720円』とbeerをせしめた所からの続きとなった。
前話では正直汚物を目の当たりにした感覚に囚われたが、P.46 02齣目で描かれた松永先生の表情に惹き付けられた。
川本家の祖父たる相米二(そめじ)氏にせよ、二海堂家の執事(勤続45年)たる花岡氏にせよ、威厳横溢というよりは愛嬌たっぷりという感じで「やはり少女漫画なんだな」と少し引いた感じになってしまう。
とは言え、こうも活き活きしていれば別格で懐かしの『味皇(あじおう)様』に優るとも劣らない。
零君との会食はうなぎを食して水を得た魚の体となった松永先生の独擅場となり、一方的に印象に残されていそうな香子嬢迄、

(前略)鬼のように キレイな顔を しとったが・・・(P.47 04齣目依り引用)
じゃがアレは おっかないぞー 大人になったら あれだ・・・・・・ 毒婦ってヤツ になるな(後略)(P.48 01齣目依り引用)

とありありと想起している。

前半分は、『鬼のように』を一般的な形容表現として用いており若者言葉としか言いようがないが、後半分での『毒婦』という表現は年相応で、対比が目を惹く。
松永先生が、40年の棋士生活に比して瞬く間に(10年弱?)で去って行った小娘たる香子嬢を鮮明に覚えているとなると、出来過ぎている。
尤も直前に、

ま あの幸田が育ての親じゃ(註:零君の) アレも(註:幸田先生も)ホント 優等生で ただ強いだけの おもしろ味の 無いヤツじゃった(P.47 03齣目依り引用)

との述懐がある。
P.52 04-05齣目での新四段直後の零君と幸田先生への回想を始めとして、幸田一門を眩しく眺めていた所為とすれば自然になる。
幸田先生に関してはtournament proとして鈍くなった姿が01話で描かれている訳だが、香子嬢を思い出さなければ、

もっとも 最近はすっかり 丸くなったがな

と続けて、最近ご無沙汰で物足りなくもある(微苦笑)鬱系回想sceneへ突入しただろう。

いよいよ好調の松永先生は、P.48の後半からP.49迄で福島県に関する歴史&人物観を蕩々と語っている。
活字が非常に細かくなり、読み飛ばされて然るべき描写にも拘わらず、丹念に読んでしまった。
個人的には、「保科正之(まさゆき)公の抜擢は03代将軍たる家光公の功績にせよ、もう一人の庶弟を自害に追いやった人面獣心振りにも言及して頂ければ尚良かった。
戊辰戦争を称揚し過ぎると山口県民や鹿児島県民の反感を買うのみならず、他都道府県出身者にも『農民に取っては、圧制者と侵略者の同士討ちでしたね(幕末から戦争直後迄一揆が多発し、自由民権運動の隆盛に至った)』と頭から冷酒を浴びせ掛けられない。結局回避して、旨い地酒になさったかも」という感想になった。
お年相応に都合の良い事柄だけ回顧している様だが、何とか零君も盗み取れるだろうか。

chapt.18では自虐ネタに終始した松永先生だった物の、P.52からは前pageでの引きに続いて自分語りに至り、老将を通じて勝負の世界の過酷さが語られる体裁となった。

(註:零君は)何と若く 美しい死神なので あろうかと(P.53 03齣目依り引用)

と感嘆しつつ正々堂々の戦いで散ろうとしたが、

(前略)「負けたくない」 「負けたくない」 「それでもワシは負けたくない」(後略)(P.54 04齣目より引用)

という狂おしいばかりの気持ちに駆られつつ、醜態を晒した旨が表されている。
対局中の無我夢中から、漸く冷静に自己評価が出来る様になった訳で零君も真摯さに打たれたらしく、

将棋 好きですか・・・(P.55 01齣目依り引用)

と、先輩相手で大抵角の立つ質問を率直に表している。
松永先生の回答は大人の務めを果たして切実その物で、一応躱しつつも勝敗に纏わる喜怒哀楽をさらけ出し、

そんなっ 言葉なんぞで 言い表せるものかっっっ(P.56 01齣目依り引用)

と落涙迄なさった。
chapt.09では回答共々打算的に扱われた質問だが、今回は見事に対比を成している。
私に取ってこの質問は、fansの皆さんからなら「勝った時は楽しいですね」等と機知を表し、自分に対して投げ掛ける折は「嫌いだと言ったら将棋の神様にお尻ペンペンされるからな」と冗談に紛らわして気合いを入れる程度の代物だが、もう少し丁重に扱う気になった。

思えば、零君は松永先生の『40年間の重み』を具体的に斟酌出来なかった。
松永先生は、零君の鬱系回想scenes等思い浮かびもしないだろう。
P.57で漸く登場の香子嬢は、先に根無し草同然の日々を暴露したのみならず、零君の冷徹な勝負師兼根気良い聞き手としての面も見誤った。
読者たる私としては、見識不足も含めた全てを目の当たりにした上で温かく見守りたくなって来る。

やさしさ溢れるラブストーリー

の内の『やさしさ』が、私の中で反映されていると感じる。
零君にしても、他者の苦衷や悲哀を斟酌し或いは真っ正面から受け止める状況が、共感を抱く事に次いで重要な筈だ。
正面切った優しさがまるで通用せず、共感を受けないとなかなか癒されない状況は相変わらず歯痒いが、鬱系回想scenes共々以前より大らかに見守って行けるだろう。

本日-「○(勝利)upwardright」。VS石井直樹三段は本日に回り、日頃の相性の悪さを跳ね返してまずまずの状況になった。[奨励会試験(奨励会)]の最終日だったが窪田門下はおらず、[研修生(研修会について)]受験者の合否も日曜日の08月第02例会で概ね判ると判断して、問い合わせ等は行わず静観した。

こよいは、ここまでにいたしとうございます(by【大井夫人@武田信玄】終話挨拶依り)(08/26 23:59掲載)cloud

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コメント

C級01組順位戦04回戦の前にcommentsを拝見して、心置きなく臨めそうです。

棋聖戦01次予選に関しては、entryを立て損なった点も含めて後悔しきりの段となりました。
『百戦して百勝というわけにもいくまい。いちいち陳謝は無用である』と片付けるには精神修養が足りない様です。喜怒哀楽を源泉とする将棋への想いが、恐妻恐娘と並んで?40年間に及ぶ棋士生活への執着力になった、松永七段の例もあります・・・

保科正之公に就いては、「04月中旬に諏訪&高遠へ旅した折に、『高遠城址公園さくらまつり』会場で大河drama化依頼用署名を求められ、家族共々記名した」という浅からぬご縁があります(微笑)。
よしながふみ先生の『大奥』は試し読み程度ですが、女流棋界の為には赤面疱瘡が必要かもと思わされます。03代将軍の甥御様は元より、「女流棋士将軍」もdrama版辺りで拝見したい物です。
各種漫画単行本への帯協賛にも見られる羽海野チカ先生の遊び心から見て、ご影響を受けた可能性はあるかも知れません。

『死に神』記事の場合は、被害者遺族会の声明もあって素粒子筆者及び朝日新聞の完敗の体となりました。とは言え、「素粒子は風刺として捻りが乏しいが、鳩山元法相も要人として雅量不足」という判断に変わりはありません。
日本が将棋の次に?世界に誇るpop cultureを始めとして、大衆文化は依り正当に死に神を扱っていると思います。余り一齣一齣に拘ると所謂『漫画読み』じみていそうですが、『若く美しい死神』の01齣は、『鰻の死骸を貪る盤上の亡者』共々私を魅了して止みません。
盤上の死に神たる零君に際しては、「病状が悪化しつつも順位戦対局にしがみつく二海堂君に対し、遮二無二勝ちに行くか投了して入院させるか」といった事態を夢想します。ベタに過ぎるかも知れませんが(苦笑)。

林葉直子元女流と棋界とのご縁は、正直計り知れない物があります。個人的には葬らざるを得なかった一つの命が、fictionの領域にせよ棋界で雄飛する姿を見たく思います。
ご本人に関しても『しおんの王』原作に限らず未だ未だ棋界で存在感を示して頂きたいですが、更なるご苦難に追い立て兼ねない難があります。

棋界に纏わる醜聞に対しては、「消極的且つ婉曲」に扱って下されば何よりに存じます。取り分けご指摘の件に及んでは、かの先崎学八段のお顔にも配慮して下されば幸甚の至りです。最近も非要人にせよ、唾棄したい事象が発生し経緯も暴露された様でもあります。
思えばsponsorsたる大新聞が、非思想的醜聞でwebを中心とする集中砲火を浴びる光景等は、想像も付きませんでした。棋界へは「『マスゴミ』に寄生依存する斜陽娯楽」的叩きが及んでいない点は、やさしさ溢れる解釈が必要でしょうか・・・

追伸:
上で「ご好調のようですね」と書いてから連盟サイトをあらためて確認し、棋聖戦でのご敗戦に気づきました。大変失礼いたしました。いずれにせよ、今は順位戦でのご勝利を期待させていただくのみです。

 各棋戦ともご好調のようですね。火曜日のC1順位戦でのご勝利も祈念いたします。
 
 『3月のライオン』の今号の感想は、一言でいうと、良い齣(場面)が多く観れたな、ということです。

 保科正之の唐突な挿話は、もしかしたら羽海野さんの「盟友」たるよしながふみさんの影響かとも思います。よしながさんがmelody誌に連載中の『大奥』に対して私は「単行本派」ですが、連載現時点でも確か三代家光の治政で、四代家綱も誕生していたかと思います。もしお読みでなかったら、『大奥』は、松平義七郎行頼殿には特にお薦めです。

 また、「美しい死神」(おお、EGWORDというMac専用のこのワープロソフト[既に発売中止、Yahoo Auctionで先日落札しました]では変換できました)という「死に神」イメージの反転的表現は、やはりこのブログでの窪田六段のエントリからの影響かと思いました(『死神の精度』という小説や映画が流行っているらしいということや、マンガ・映画で『Death Note』が爆発的人気を誇っているということも聞くにせよ。)。そのエントリに何かコメントを書かせていただこうかと思っていて、しかし思いつかなかったのですが……、思わぬ形で窪田六段の想像力が形象化されたのではないでしょうか? もっとも、窪田六段からすれば、零くんはいまだ「死神」どころか「歯痒くて」仕方の無い棋士少年なのでしょうけれども……。これから窪田六段をも納得させる「死神」の姿を現してくる場面があるとすれば……、やはり対二海堂戦でしょうか?

 香子嬢に関して、またもや「モデル問題」を引っ張り出すと、浮かぶのはやはり林葉直子さんということになりますが、最近将棋界への復帰を熱望されているそうですね。
http://mtmt-blog.com/2008/08/tropical-rain.html
(松本博文氏のブログより)
 
 最後に、将棋界で「汚物」といわれると、私に思い浮かぶのは、誰よりも(林葉・先崎両氏の師匠たる、「神宮寺会長」ならぬ)米長邦雄氏ですね。米長氏に較べれば前回の松永七段の醜態などカワイイものです。某園遊会で、いわばプチ「尊王攘夷」を企て、「醜態を晒した」のに、何の反省もありません! 
 
 失礼いたします。

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