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曼珠沙華のかんばせ

[3月のライオン01巻(白泉社特集page)]が発売されて04ヶ月になろうとしている。
通算部数や再版状況を気にしつつ、【No.13号(Young Animal Web)】掲載のChapt.16を読んだ(以下ネタバレにご注意あれ)。

昨今は二海堂晴信(はるのぶ)君特集の感があり「流石真の主人公」と振り仰ぐ思いだが、今回も前話依りの引きで執事の花岡氏共々飛ばしに飛ばしている。
Chapt.14でのMHK杯熱血解説も、桐山零(れい)君が連盟に赴くや否や出会い頭にスミス六段や松本一砂(いっさ)五段に絶賛されており(同門らしく一門を挙げての様子)、此処迄来ると些か釈然としない。
御曹司とは言え零君以外に気前良い描写が殆どない以上、「重度疾患を知らぬは零君ばかりなり」でもない限り、反発や嫉視を被らない状況は異常に映る。
とは言え、実力万能とされる世界の人間(11/12 0900追加)であれ扱った作品その物であれ特別待遇が存在するとなると、如何にも現実的だ。
作品世界にせよ掲載誌その物にせよ、そういった方々の牽引力が必要かも知れない。

二海堂君の期待を松本五段に熱く再現され、冷め切った自分を見つめ直す零君。

二海堂の あの エネルギーは どこから来るんだろう
体だって 決して 丈夫じゃないのに
自分を疑ったりしないのだろうか
前へ前へ進もうと粘る あの熱・・・
そばにいると胸が苦しくなるんだ
ますます 自分が嫌に なりそうで・・・・(P.71 05-07齣・P.72 01齣依り引用)

二海堂君を避ける理由が、「熱気に堪えられない」旨明確に語られている。
川本あかり嬢の太陽政策も、二海堂君の灼熱政策?も、余り功を奏していないと改めて思わされる。
高橋君の尊敬を込めた共感なり、川本ひなた嬢の上から目線でない同情なりに依る、陽系食材の薬膳にも似た温熱効果でこそ完全に溶解させられるであろうか。
「苦しい時に打開or辛抱」は、人生観なり将棋観なりの根幹を成しているが、人間及び棋士として大成する為には両方を理解し、自分の選択にせよ他人への忖度にせよ使い分ける必要がある。
零君が『体だって 決して 丈夫じゃないからだ!』と考えられる様になれば、戦況芳しくないC01順位戦で悟りを開き、来期に繋がる闘いも出来るだろう。
ある種の青春物では、男子高校生が破滅的な迄に鈍感だと、屡々学校生活が彩り豊かになると相場が決まっているが、零君の高校は女子生徒の存在感その物が乏しい。
何処に身を置いても良い思いが出来ない、境遇を象徴している様だ。

川本家では、二海堂君が遺した将棋はじめて絵本を手にしたあかり嬢が将棋の魅力を噛みしめており、ひなた嬢やモモちゃん、川本老迄もが将棋に興味を抱いている。

将棋って 不思議ねぇ
何百年も 前からあって盤と齣さえあれば
今でも普通に
家で 楽しめて
しかも
一回覚えて しまえば 大人も子供も 全然 関係なく
みんな真剣に 楽しめるなんてね
それも一生!!
不思議なゲームねぇ(P.73 04齣-P.75 01齣依り引用)

あかり嬢の慨嘆は、棋士として心に沁みる。
昨今は、家庭や近隣での日本人同士の対人交流が減少して久しい。川本家にしてからが03世代同居ではない。
webに代表される不特定多数と交流出来る場では、将棋同様に奥が深く、将棋依り遙かに派手な遊戯も隆盛している。
とは言え、将棋普及の上で基本的な面白さをないがせには出来ない。
郷愁に訴えるにせよ、新味として語るにせよ、社会性涵養の一環として位置付けるにせよ(非対局系fansに対しては、敷居の高さが問題になりにくいので伝統面も効果大であろう)。
余りappeal出来ていないが、昨今では低環境負荷という強みも存在している。

その頃、東京将棋会館からの家路を急ぐ零君は

あかりさんのその言葉で
よぎったのは父の面影だった(P.75-02齣依り引用)

と、すっかりお馴染みの回想modeに入っている。
あかり嬢の『その言葉』は『みんな真剣に』の様だが、零君が川本家へ寄った描写はない。
女性fans御用達たる単行本では「携帯電話であかり嬢が会話中、手元の絵本に言及する」旨改変が入るだろうか。

夢中になると自然に現れる父のクセ
その姿を見るのが好きだった(中略)
その仕草が 見たくて必死に がんばった
やさしくて周りに気ばかり使って いつも笑ってた父の
何の とりつくろっていない ほんとの顔(P.73 03齣-P.74 02齣依り引用)

Chapt.09でも、(故)桐山氏との対戦が示唆されていた。
今回は、年齢を超えた対等のcommunicationたる幸田先生との対戦に比して、語られている感がある。
零君にとっては至宝の思い出と言えるだろう。
尤も死屍に鞭打つ様だが、(懸案を持ち帰らない仕事振りにせよ)家庭にあって滅多に子供相手や子供の前で真剣な所作を示せないとなると、庭訓の欠如を指摘せざるを得ない。
作中で具体的な行動を始めとする良識のみを示している社会人は、あかり嬢の他はスミス六段と担任の林田高志先生位であろうか(花岡氏は、今回二海堂君に共謀した件で保留)。

何で 忘れてたんだろう
僕は今
父さんがこがれた 棋士の世界に
立っているんじゃないか・・・(P.74 04齣-P.75 01齣依り引用)

『自分探し五段』とばかりに、棋士としての大義名分やmotivationを探索する零君にとって貴重な回想となった。
強いて言えば(故)桐山氏に、零君の奨励会入りに対する希望なり、許可する用意なりあったかも外せない。
『零は将棋が向いている。祖父の意志はともあれ、桐山医院は妹に継がせようが第三者に譲ろうが構わない』旨の意志が妻共々(11/12 0900追加)語られれば、零君の向後に供するのみならず幸田先生の行為も著しく減罪される。
と仮定しつつも、「幸田先生が密かに桐山家乗用車のbrake hoseを修理していた」と明るみになっても今更驚かない。
そもそも、某animationで観た様なplotではある。

幸田家長女・香子の存在は長らく鬱系回想以外に確認されていなかったが、遂に帰宅した零君の前に出現した!!
Chapt.01を含む以前と比べて妖艶さが増し、地上階の玄関を突破した辺りは奸智属性も会得した様である(奨励会時代の身分証明証を示したか、二海堂家の中央突破に便乗していた物か)。
YA誌の慣習に従えば性的な意味でドキドキさせられなくもないらしいが(微苦笑)、無論単行本派同様に戦慄で胸を締め付けられる思いに駆られ、少女漫画ならではの恐怖を堪能している。
香子嬢は零君への邪心のみならず、将棋へのそれも股有しているだろうか。
07/25(金)発売のNo.15号掲載・Chapt.15に於ける回答や如何に(06/28 2359掲載)。

昨日-「△(指し掛け)leftright」。 本日-「●(敗北)downwardright」。

こよいは、ここまでにいたしとうございます(by【大井夫人@武田信玄】終話挨拶依り)cloud

追記
今回は、川本家の人語猫が鳴きこそすれ喋らなかった。
私は猫にしてからが、鳩森神社境内で野良をちょっとあやすに留まっている。
petsの良さは、「心情を何となく忖度し、或いは勝手気儘に想像出来る」所にあると思うが、猫にしてもきちんと飼えば本当に聞こえ理解する境地に、至るかも知れない。
少なくともP.73 03齣目を観た限りでは、『生きてて良かった~』という快哉がはっきり聞こえた(笑)。

今更乍ら気付いた点を挙げたい。
零君はひなた嬢に正体がバレてあたふたしているが、友達の友達はアルカイダの高橋君にさえChapt.13でいきなり気付かれている以上、高校のclassmatesに発覚したかどうか心配でならない。
「全く気付かれないか、定期的に休む理由が極めて特異な職務たる棋士稼業の為と発覚しても無反応」となると、棋士として泣きたくなる。
Chapt.02で前の学校を去った旨語られているが、その理由が「棋士零君に対する周囲の特別扱いに基づく居辛さ」とは何処にも描かれていないにせよ。
[NHK杯TV将棋トーナメント(番組公式)]では収録studioの隣室で解説が行われている。
MHK杯で多少の差異があるにせよTV対局後に解説者が合流する事が慣習となっており、解説の正誤を確認する上で欠かせない。
スミス六段に指摘される迄、解説してくれた二海堂君が撮影後貧血でへたり込んだ事に気付かなかった零君の冷酷非情に絶望した。
勝負の非常さを一々あげつらうと切りがないが、松本五段が出場した方が祖父も喜んで丸く収まったと思わされる。
と宣いつつも、強引な迄に直截的な二海堂君が公共放送を占拠利用したのみで面と向かって零君に諫言しなかった点も奇妙でならない(勝った将棋でさえ『必ず観ている』という棋士の声は案外聞かれない上、勝敗に拘わらず観ている私でも負けた物は心の準備が必要となる)。
零君の敗北(らしき物)が初めて具体的に描写されたという椿事が、【不思議時空】を発生させたのだろうか。
♪~不思議不思議不思議~♪(11/12 0900追加)

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コメント

 追加部分にコメントをさせていただきます。  
「学園物」の園は「動物園」の園、と宣言する私(だから「ハチミツとクローバー」にも馴染めない)にとっては、零君が高校で「無関心」におかれているとしても自然なことに見えるし、また零君の「学園生活」に物語の軸が移るような展開も望ましくありません。
 
 私の考えは別にしても、ひなた嬢が通うような公立中学校は別として、零君が通うような高等学校、とりわけ都内の、将棋部が存在するほどの「余裕」がない(概ね必然的に、恐らくは「進学校」でもない)高校では、現実にも人間関係はかなり稀薄だと想像します。携帯電話でつながる、むしろ小・中以来の「地元」(この言葉がこの文脈で遣われることは私の高校時代にはまだ無かったと思いますが)の縁が友人関係の中心になっているのではないでしょうか。

 ちなみに、私には、零君、さらには育て親-師匠の幸田氏さえ、冷酷に見えたことが一度も無いのです。将棋(修行)の厳しさを自ら経験していないからでしょうか……。香子嬢の冷酷なる美しさに見惚れることはありますが、香子嬢は零君に「嫌みをつける」以上の力を物語において行使することはできない「盤外の人」ですね(今までのところ)。

 ところで、2巻の終わりに配置されるであろう(?)零君のあの「叫び」は、まさに「ライオン」のごとし、と言えると思いますが、「3月のライオン」というタイトルから最初に私が連想した「3月」の順位戦最終局の光景は、少なくとも零君が中心となる場面としてはなかなか描かれそうにはないようですね。まして「将棋界の一番長い日」に零君が到達するまでには最低でも3年以上かかります。

 そうなると、まずは竜王戦ならぬ獅子王戦、「ライオン」をめぐる争いから……ということなのか。羽海野さんが今年も竜王戦の取材をされていた(「週刊将棋」紙より)のは、そのための準備でもあるのでしょうか……。

 ご返事どうもありがとうございます。
 「教育的」と書いたのは、違和感の表明ではありますが、「上から目線」への批判ではなかったつもりです。むしろ、預かり弟子をお抱えで、なおかつ研修会幹事を務められておられる窪田六段ならではの視線なのかな、ということを意識しての表現です。(大盤解説会でお見かけする機会がないのも、棋界に対する「教育者」としての貢献の多忙の方を選ばれた結果なのかな、と想像しておりました。)

 critical hitといえばファイナルファンタジーですか。私も昔やりましたが、ファミコン時代のものまでです。最近はテレビゲームをすることが皆無ですが、「ポケモン世代」ともなると、RPGでもかつてのような細かい配慮や操作なしに動いてくれる世界になっているのでしょうか。
 そういえば、数年前に聞いた噂によると、最近の教育界では、マンガを読む子=勉強ができる子、という図式になっているとか。確かにマンガすら読まないでつねに携帯ゲーム機に夢中の子どもよりは、勉強ができそうな印象があります。そういう時代になって、しかし、肝心のマンガ文化の方が、ヤングサンデー誌の休刊に象徴されるように、オタク化に呑み込まれつつ衰退していくのは、皮肉ですね。ヤングアニマル誌にとっても、対岸の火事とはいえないのでしょう。「3月のライオン」の連載開始自体、もしかしたら危機感の現れだったのかもしれません。その導入が、まさに「酒池肉林」の本誌面の上では、齟齬を来しているとしても。 
 将棋を学校教育へ、という話も、私の子ども時代には考えられなかった訳ですが、「将棋界は斜陽産業」だとしたら、マンガと同じことになりますね。率直にいえば、ともかく「新聞界は斜陽産業」だということを踏まえないと、どうしようもないところに事態が来ているとは思っています。

痛い所をご指摘頂きました。
棋士たるに基づく上から目線は薄々自覚していますが、教育的という依り寧ろ「かわいがり的」(苦笑)ではあります(『特技・自分探し3級』という表現をもじってみましたが、安易でしたやも)。

昨今の若手棋士は、革新的現代将棋への対応は元より普及や指導、web棋界を含む将棋界の未来も重視せずにはいられませんので、「欠けたる悩み」にのみ耽溺は出来ないでしょう。
零君の場合、境遇も地位も極端に設定されているだけで、旧来の若手棋士の苦衷や、奨励会員に宿命的な「持たざる空しさ」を再現しているかも知れません。

criticalと聞くと、子供の頃親しんだRPGを想起してしまいます。読者たる私も、critical hitsの猛威とささやかなHPの回復振りを追体験している感じです。
零君の場合、家庭用と違い高確率で味方の回復呪文への回避&抵抗判定に成功してしまう様ですが・・・

 将棋界の常識からすれば将来の名人候補とも目されるであろう「17歳で五段でC級1組所属」=エリートの桐山零君に対して、窪田六段のまなざしは、つねに「教育的」ですね。「自分探し五段」……。
 森信雄七段のブログや大崎善生氏の著作を拝読する限り、このようなidentity crisisは、多くの方が奨励会の段階で「ぶつかる」ものらしく、「17歳で五段でC級1組所属」になってから「ぶつかる」、ということ自体、現実の(特に最近の)厳しい棋界では稀なことなのでしょうね。零君の場合は、つねにcriticalなかなりの特殊事情がありますが……。

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