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元三代目はオールラウンダー

【3月のライオン(ヤングアニマルWeb)】chapt.09を観た(以下ネタバレご注意)。

今回は練習将棋を通じた、幼年期の零(れい)君と若き日の幸田八段との交流が語られている。
局面に関しては断片的でもあり、極めて判別し難い。
P.42の03齣目は幸田八段の陣形を零君から見た局面で、持駒は角金銀その他と思われる。
感想戦で零君が、

一目(ひとめ)(註・幸田八段の玉が) 詰みそうに 見えたから・・・

と所感を述べている。
▲3二飛成(以下、零君の先手番で表記)△同玉▲4一銀△同玉▲4二金△同銀▲5二角△3二玉▲4二銀成△同玉▲4三銀△3三玉▲3二金△2四玉▲3四銀成△1四玉▲1五歩(1六歩を突く)と17手の突き歩詰めに切って落とした結末が、01齣目だろう。

どうして(註・6七にいる幸田先生の)竜をとらなかったの?

という幸田先生のご質問に対する解答だったが、02図で零君が▲6七金(同零君側表記)と龍を取ると拙そうだ。
幸田先生方が持ち駒金桂・盤上7三桂・9四歩の配置なら、△8七歩成▲同玉△6九角成▲7八合駒(何を受けても小異)△9五桂▲8八玉△8七金以下、容易に玉を詰まされてしまう。
手合いは平手の様であり、幸田先生が零君の資質と努力に舌を巻いた有様も頷ける。
零君が正座にも拘わらず胡座で指しているが、当時は指導惹いては師弟関係といった、堅い考えはなかったかも知れない。

なのに 盤をはさんでの そのヒトの言葉は ちゃんといつも ボクの中に沁みてきた 大人なのに ちゃんとボク(ママ)「語りかけて」くれてるって ・・・・・・それがわかった

盤上遊技なら共通するにせよ、正に勝負の機微の一端であり、内藤国雄九段の座右の銘棋は対話に通じる。
年齢に限らず性別や身体状況の差異があっても同様であるし、昨今ではweb対局との対比でも語られる要素ともなっている。

新家族3姉妹の末妹・モモの奇禍(路上でじゃれ付いた飼い犬を、メスらしく銘記するか擬人化offにして欲しかったがさて置き)に際して、零君が悲劇を回顧する。
始終心の箍を締めているにせよ、新家族といると頑なさが解ける序でに、つい緩む様だ。
独りも含めた普段とは違った形で箍締めが必要となりそうな、二海堂君との関係が案外平穏でいられるだろうか。
零君はKYに描かれているかも知れないが、何とか二階堂君の事情を察知して心を開いて欲しい。

*************************************

両親と幼い妹を自動車事故で失った零君。父親が奨励会退会後に継いだ病院の権利と零君の処遇を巡り、葬儀早々に伯母夫婦が蠢動している。
父方の祖父は存命な物の、年齢と健康状態から見て零君の引き取りは難しそうだ。
子供乍らに不穏な雰囲気を覚え、暗然と将来を想う零君。
そこへ幸田先生が現れ、零君の心が解れるが、幸田先生は桐山翁への挨拶も橋折ったまま沈痛な眼差しで

・・・・・・ 君は 将棋 好きか?

*************************************

3月のライオンは、上海魔窟を彷彿とさせるYA誌にあって、東方明珠電視塔の如く聳え立つ存在だと思うが、01話冒頭に限らずデスメタルな生々しい台詞も顕れるらしい。
「いいえと答えたら、ご自分から申し込み撤回なさるおつもりでしたか」「『嫌いですが、指すと熱くなって来ます!』といった根岸崇一君的解答では」「これなんてオーベルシュタイン?」と私からご質問したくなる。
零君も『どうしてそんな事聞くんですか?!』と縋り付きでも出来れば良かったが、打算を察して

はい・・・・・・

と応じてしまった辺りは、賢さ故の悲しい過ちと評する(「この師匠にしてこの弟子あり」では嫌みになってしまうだろう)。
零君は将棋の神様との嘘契約として苦悩しているが、「神罰が下るとすれば超特急的最優先で幸田先生なので、心配しなくてもいいよ」と慰めたい。
chapt.01で、両者が親子だと関係者を含む台詞で明確に示されている訳だが、次期親権者となるべき桐山翁が存命な以上、「内弟子(師匠宅に住んで、子供同様に日常生活を送りつつ将棋を修行する弟子。監修の先崎学八段も経験したが、昨今廃れている)」入門の勧誘と考えた方が、辻褄が合うかも知れない(註・chapt.10で正解と判明したが、uploadingの遅れが残念でならない)。
『将棋が好きなら弟子にする』という字面自体は、特に違和感がない。
chapt.01の各種台詞も、「親子同然の特殊な内弟子関係」の延長と言えなくもない。
第一、未成年者たる零君が自分の意志で養子縁組を解消し、新親権者なり後見人なりと接している形跡がないとすると非現実的に過ぎる。

何れにせよ、『息子の可愛い忘れ形見に桐山医院も相続させ、施設に入れるにせよ医学を修めさせて院長に!』と渇望したであろう桐山翁を、どうやって幸田先生は調略説得なさったのだろうか。
利害が一致し得る方々が式場に存在するとは言え、この仕掛けで攻め切る事は難しそうだ。
ともあれ、今後は極めて不利な形勢に基付く零君の苦闘が語られるだろう。
苦難を共有する積もりで接したい。

YA誌上や将棋雑誌でのinterviews等は未だ出ていないが、
【風街少年*風街少女(その1)/その2(ウミノの日記11/25)】に案内が出ており、【風待日記(Special Talk 第1部 カフェのお客様 羽海野チカさん『風待少年』『風待少女』発売記念スペシャル03『3月のライオン』と戦っている人」)】を拝見した。


●羽海野 (前略)「職業として将棋をやっているけれど、自分の生活とうまく両立できない」という感じにしようと思って。(後略)

●松本 あぁ。そうなんだ。やっぱり好きだったんだね。(後略)

等とあって眼を惹く。
『17歳のプロは天才』の旨断言なさっている松本氏の、棋界知識にも興味をそそられる所だ。
作中での「天才或いは棋士ならではの特異な人間性や所作」の描写は、棋界にあっても特殊な零君の事情が際立ち、霞んでいる感がある。
尤も臭みやけれん味はなく、そこは他の将棋漫画と一線を画しているだろう。
職業が生活と両立し難いとすれば、「取り組んでいる最中のもう一方への寄り道」「相互の切り替えが拙い」という辺りが普通だが、零君の場合は「職業に生き甲斐が持てず、生活の空虚感を補えない」と思われる。
羽海野先生が本当に零君同様であれば只事ではないが、「職業たる将棋と日常に纏わる違和感」は作中に濃厚に顕れ、読者として心中に湿りを覚える。
羽海野先生の「好き」も作中に露骨に出て来ないので、ついやきもきしてしまう。
等と懸念を呈しつつも、『頭の中の宇宙』がどう盤前を介して描かれるか、興味は尽きない。

(都合に依り、本日の勝敗判定は未公開とさせて頂く)(12/31 13:00 uploading)。

こよいは、ここまでにいたしとうございます(by【大井夫人@武田信玄】終話挨拶依り)

追記
「意に沿わずに身を投じた世界で大成する」plotsはごくあり触れている。その分作者の腕の見せ所だろう。
頭に「両親が自動車事故で死亡した、忘れ形見たる少年が」と付ければ、かなり絞れて来る。
研修会幹事としては、そんな子に限らず児童に対し「真心を明かしこそすれ、本音は暴露したくない」と肝に銘じている。

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