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【3月のライオン(ヤングアニマルWeb)】chapt.10を読んだ(以下はネタバレでもありご注意あれ)。

今回は零(れい)君の回想のみで、simpleな構成となっている。
幸田先生の辣腕に依り、家に引き取られて内弟子(師匠の自宅で子供同然に日常生活を送りつつ、将棋を修行する弟子)となった後の苦難が丹念に語られている。
零君は内弟子師弟を託卵性鳥類に準えているが、現実の棋界では預かり師弟制度(無師匠となった弟子を、他の棋士が四段昇段迄預かって後見する)のimageが近い。
私の場合は、入門直後に師匠の花村元司(もとじ)九段が亡くなったので両方体験しているが、預かり師匠で兄弟子たる野本虎次(とらつぐ)七段のお手は、特に煩わせずに済んでいる。

親子同然の極めて特殊な内弟子関係の中で、共に棋士を目指す義理の姉兄との競争関係が、零君の突出により家庭崩壊という形で終結して行く。
幸田先生は当時バリバリのtournament proであったろうから、競争原理や勝利至上の将棋一家たる空気が醸成されても止むを得ないだろう。
同年の義兄で空気同然の歩(あゆむ)が将棋への興味を失い掛けた際は、「自分の将棋や勝負のstlyeを作るんだ」位しか声の掛け様がなかったにせよ、

(前略)自分で自分を説得しながら進んで行ける人間でなければダメなんだ プロになるのがゴールなんじゃない なってからの方が 気が長くなる程 長いんだ
進めば進む程 道はけわしく まわりに人は いなくなる 自分で自分を調整・修正(メンテ・ナンス)できる人間しか どのみち先には進めなくなるんだよ

相手が実子である点はともあれ、児童(小03年)相手のみならず教条主義としか言い様がない。
大いに他山の石としたいし、「気が付いたら判っていた事象が、なかなか判らない相手を目の当たりにした際の反応」の典型でもある。
説得に関しては「孫を先に籠絡してから祖父を説得するとお上手に行きますか」と皮肉りたくなるし、その物ずばり「好きでなければダメだ」と言った方がすっきりする。
無論、言えた物ではないお立場ではあるが。
奨励会に入ってもいない児童に関して、ゴールがどうのと曰ってもご自分の権威付けにもならない。
側で一緒に様子を伺っていた零君に言い聞かせる為の台詞と、解釈すべきかも。
道の険しさは、私自身身に沁みている。
周りには人はいなくなる所か、後輩が無限に増殖して行く上、ムラ社会たる将棋連盟では棋士になれば何十年と同じ顔を見続ける事になる。
昨今の棋士は、仲間内での支え合いや切磋琢磨のみならず、他の勝負の世界、及び学芸の世界と盛んに交流して、意見交換&発信を行い、自らを高めている。

勝負という物を厳格に考え過ぎて非現実的になっている感がある幸田先生だが、或いはこの世界の将棋連盟はtournamentだけで食べて行け、将棋普及や指導の心配もないかも知れない。
chapt.01で零君に完敗した情景と、皮肉な迄の好対照を成していると言える。
精神疾患を伺わせる歩に関しては、将棋修行の実情に照らして洒落にならないと指摘するに止める。
問題は幸田家を爆発炎上させたと思しき04歳上の義姉・香子(きょうこ)で、穏やかな性格的にも幸田家を腐食崩壊させた感のある零君と、好対照を成している。

いい気になんないでっっ ゼロのくせにっ

負けた腹いせに零君を殴打しつつ叫んでいるが、これでchapt.01冒頭の女性が彼女でも辻褄が合う事になった。
chapt.07に於いて、「恋」絡みの回想sceneでpajamas姿の零君に半ば跨っているネグリジェ姿の女性が彼女にせよ、どういう状況&推移かは(本作品のYA誌上に於ける特別性に鑑みて)兎角考察すべきでないのだろう(chapt.07は将棋棋士として出る幕がないので、感想entryは省略する)。

彼女も奨励会入会を果たしたので才能はあったと見えるが、それでも零君には抗し難く、異常な敵愾心を燃やしている。
激烈な気性と幸田先生の厳格さが相俟って認識が歪んだにせよ、自分も無縁ではない女流棋界の状況(年上でも、普通天才少女は同少年に太刀打ち仕切れない)を知らなかったかも知れない。
知れば知ったで天才少年全員に憎悪を燃やしただろうが、零君への攻撃は緩んだかも。

折角奨励会に入会したが伸び悩んだらしく、

(香子)なんで?!なんで私が奨励会をやめなきゃなんないの?!
(幸田先生)零に勝てないならこれ以上は無理だ 初段までいけば これ以上がゴロゴロいるんだぞ わかっているだろう? 香子

という会話が交わされている。
香子には「確かに止めるべきだ。幸田門下を」と助言したい。
零君への執着にショック療法を施すべく名を挙げたにせよ、『零に努力で優れないなら』等もう少し言葉の綾があっただろう。
将棋への偏愛由来にせよ、身も蓋もなさと教条主義を弄び、chapt.01ではお為ごかしで幕引きしたと思うと、憐憫さえ催すと申し上げたい。
そもそも、現実の棋界に従えば[LPSA(公式)]発足でも話題となっている女流棋士編入での、将棋界貢献を勧めそうだ(02級以上なら無審査編入)。
両名とも勝負偏重で軽侮していたと見るべきにせよ、存在しないと考えた方が辻褄合わせにには良いかも知れない。

「無限に仲間を傷付けない為にも、勝ちまくって脱出を」と書くと内弟子入門依りは拳闘士奴隷養成所に購入された様だが、しみじみと零君の優しさが身に沁みた。

泥の中にしか咲かない蓮というものを、仏教はとても尊ぶものなんですけど、本当に泥まみれにしたあげくに咲かせますね。寂聴さんは(玄侑宗久[げんゆう そうきゅう]師・新潮社刊・玄侑宗久、瀬戸内寂聴[じゃくちょう]共著あの世この世P.100依り引用)

玄侑師の小説は未見だが、超一流のstory tellersは同様の境地に達するとした物であろう。
寂聴師のご説法の様に痛快!な境地に関しては、二階堂君の再登場に期待したい。
しみじみと回顧した零君はそれでも、幸田先生を父親として愛している。
手乗り文鳥は雛の内から育てて慣らすと、anime版うる星やつらで知った思い出がある。
鳥同様の能力がある場合でも、桎梏を断ち切って自由に羽ばたく精神性が求められそうだ。

本日-「△(指し掛け)」。年越し準備で将棋もなおざりになった('08/01/01 13:00 uploading)

こよいは、ここまでにいたしとうございます(by【大井夫人@武田信玄】終話挨拶依り)

追記
将棋界に、弱肉強食・優勝劣敗に基づく階級構造が似合う事は間違いない。
特に棋士は、階級闘争を優先するか普及指導をそうするかの順位付けを常に迫られているし、日に依っても異なるであろう。


【『ハチミツとクローバー』スペシャルコーナー(集英社)】
羽海野チカ先生の代表作たるハチミツとクローバーは、集英社刊Chorus誌の看板作品でもある様だ。
YA誌の発行元・白泉社は集英社の傘下にあり、一ツ橋グループ内での小学館と集英社の関係共々、初見の折に驚いた思い出がある。

「3月のライオン」は羽海野チカ先生「ハチミツとクローバー」執筆のため休載します。再開はヤングアニマル第5号[2月22日(金)発売]からになります。(P.59依り引用)

棋士としては、「順位付けを厳格になさっておいでだな。楽しみに待たせて頂こう。再開直後に[NHK杯TV将棋トーナメント(NHK公式)]の予選が付きそうなので、読んで景気をつけるとしよう」等と感慨に耽るべきではある。

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