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一秒千金

昨今、秒読み絡みの対局規定が話題になっている。

01/24の関東棋士会でも取り沙汰されたが、『記録係に10をきっちり読む様、奨励会で指導を徹底する』旨で結論を見た。
皆さんも認識しておいでであろう、最も簡潔な方策の重要性が確認されたと言える。

根本的な解決には、
01-対局者の上位たる権威者の設定
02-機械に準拠した判断及び裁定
03-対局者の自己責任
04-権威者の常時監視及び介入
05-権威者の対局後指摘及び裁定
これらを配慮せねばならない。

「記録係の10読み厳正化」には01と04が絡んでいる。
01は理事会だが、現場に同様の権威者が必要な為、記録係たる奨励会員を当て嵌める訳である。
とは言え、記録係は修行の一環でもあり、基本的には失敗や弛緩を棋士たる正会員に注意される立場ともなっている。女流棋士と奨励会員はどちらが上位者か判然としない現状も、事態を複雑にしている。
月謝制導入後の入会者には多くを要求し辛い状況から見ても、04は満たせても01は困難であり、定着には時間が掛かるだろう。
厳正化出来ても、人間が読む以上は30秒将棋の10秒や01分将棋の30秒を読み過ごす事もある。20秒や50秒から読まれては対局者が堪らないが、秒を戻しては不正となる。
「10」と言葉が出なかった際や発音不明瞭だった際に、次の着手前に時間切れを指摘し、抗議を受けても「10と読む意志がありました」で棄却出来るかは判断が難しい。

棋士会の結論から外れるが、02が無視出来ない。
女流棋戦を含む一部棋戦で対局時計が導入されて久しいが、人類たる記録係が押す以上押し忘れが発生する。秒読み機能使用時には即座に押せないと拙いので、左手で押して右手で書く様な芸当が必要になるだろう。
対局者が押せば03に関連し、二歩等の明確な反則同様、判断が容易になる(記録係の存在意義が問われるが、ここでは触れない)。
それでも、故障を懸念してNHK杯本放送同様に02個押すか、記録係や対戦相手が押し忘れを指摘すると助言に相当するか、切れ負けが続発して将棋内容の劣化に繋がらないかと懸念が絶えない。
対局者が「27秒や57秒迄に駒に触れて着手開始し、28秒や58秒迄に完了し、切れたと判断したら自己申告する」様に心掛ければ、03に準拠するのみならず伝統文化の担い手としても宜しい。
されども、切羽詰まるとhuman beingとしての限界をさらけだす事になる。
奨励会時代に10秒将棋等で秒読みでも落ち着いて指せる様に鍛える反面、屡々09秒指しの悪癖が付いてしまう点も留意しべき。

部屋毎に立会人を置けば、04が強化出来る。01も満たさねばならないが、正会員なら若手でも引退者でも問題はないだろう。
しかし乍ら、01部屋毎に置くとしても目を配り切れるか問題がある。深夜に及ぶ事も考えると、立ち会い人も所詮はヒトだと心配せざるを得ない。
「万一の際に記録係の指摘に権威を与え、対局者のそれを裁定し、読み間違いや押し忘れは殊更指摘しない」という立場であれば現実的だろう。

現在設置されているIPcamerasを増加して全局の映像と音声を中継する方法もあるが、権威者が監視して01を満たさねばならない。複数局の音声同時監視も非現実的だろう。
権威者が深夜迄監視せずに済む上、秒読み開始後からでも細大漏らさず検討出来る点で、録画&録音して05を適用する手もある。
記録係や対局者が咄嗟の判断を迫られずに済む点からも望ましいが、現行の規定や判例にはそぐわないので惜しまれる。

「対局者がみだりに指摘出来ない様、理由を問わず却下されたら反則負けとすべきか」という問題もあるが、自己の不利益を自ら補填する点で03に繋がり、「不明を恥じて投了」なら03の範囲内ですっきり収まる。

************************************************

個人的には03を重視している。
「自己責任」という造語は由来からして酷薄であり、余り同様の事態を強いたくはないが、自分としてはそうしたい。
具体的には、TV将棋は考慮時間を01分残して指したい。
普段の対局は余り秒を読まれないし、58秒迄に着手完了する自信がある。
TV将棋は30秒の上に収録されている為責任重大だが、これなら切れ負けの心配がない。
[NHK杯TV将棋トーナメント(NHK)]の放送分で、「28秒」と読まれてからの29.9秒指しをお目に掛けているし、実際考慮時間を消費してしまった例もあるが、今後は改善する。

時間切れに関する論説で印象深い物は、[(故)山田道美(みちよし)九段]がpen nameで書かれた論考棋界の潮の一文で、山田道美将棋会館著作集(中原誠編・大修館書店刊・絶版)に所蔵されている。
要旨『時間切れ騒動が発生し、私自身も際どい思いをした事がある。人間の能力に限界がある以上、02分将棋にすべきではないか』との主張だった。
山田先生は、奨励会時代に毎回01局しか指さない一日一番主義を標榜されており(当時から周囲の反発があったが許可された。時代を感じさせる)、敷衍かと思わされる。
02分将棋が導入されれば後世、「01分58秒迄に着手完了すべきか」等と論議に至っただろうが(微苦笑)。

本日-「△(指し掛け)」。夕方迄将棋に勤しんだ後、[名人戦棋譜速報|主催:毎日新聞社]でC2順位戦をじっくり鑑賞。連盟に赴いて力強く形勢判断でもしようかと思ったが、早々の終局が多く気が向かなかった。有吉道夫九段(勝)VS▲(指し直し後)佐藤和俊四段を注視していたが、私も有吉先生の様に古希を過ぎても闘い続けられるだろうか。増田裕司五段(勝)VS▲大平武洋五段は夕休前の決着となったが、結局01敗陣が手厚く、02敗最上位・06位の増田さんが届くか興味深い。

こよいは、ここまでにいたしとうございます(by大井夫人@武田信玄

追記
[(故)金子金五郎九段]の著作に再評価の動きがある。

【近代将棋】04月号にも、以前連載されていた金子教室第01巻升田幸三が再録されるが、
[新聞社の将棋担当者への提言: ネット上に長い観戦記を(My Life Between Silicon Valley and Japan'06/12/16)]が由来だろうかと勘繰っている。

少なくともタイトル戦という最高峰の将棋のすべてに対して、新聞社は各社の将棋サイトで、一局あたり原稿用紙40枚くらいの文章の枠(図面は別、これは無数に)を用意して、観戦記または自戦記を掲載するべきだと思う。

そういう長文の枠さえ用意すれば、若い棋士の中からも素晴らしい観戦記を書く人材も育つだろうし、「将棋の魅力」はより広く伝達されていくことだろう。この「長い観戦記」を土台に、その周囲に「Wisdom of Crowds」(群集の叡智)を集めることだってネット上なら可能である。

web上で長文観戦記を掲載すると、棋界であれ低感心層の忌避を招く事は間違いない。現行の観戦記に慣れている、高感心層を惹き付ける確証もない。
現状の尺で本数を増やせば選択肢が増えて低感心層にも喚起出来るし、高感心層も満足するだろう(同じ字数のweblogsでよりaccess回数を多くするには、記事数を増やすに越した事はない)。
より多くの新人に機会を与えられる点からも棋界に貢献し、新聞社さんもご投資の甲斐がある。
web上で長尺を含めた観戦記を励起するには、解説付きの棋譜と詳細な状況記録を諸権利放棄の上で公開して頂く様求めるべきだろうし、【Wisdom of Crowds】も蝟集する筈だ。
金子先生が21世紀に再来なされば、『お経も観戦記も長ければ有り難い訳ではありませんよ』と仰る気がする(図面に関しては、文中の符号に一々併記すれば字数と関係なく増やせる。印刷物ならlayoutsががたがたになるが、文字のsizesを変更出来るweb環境では一理ある)。
個人的に観戦記と言えば、山田先生の随想正しき道-ある子犬の告白-(近代将棋1,959年04月号)が思い起こされる。

そして、苦闘の末作った棋譜は、ありあわせのボロを着せられ、死骸のように新聞に乗って、捨てられた。

産経新聞社の記者【茶】氏に対しては具体的に内容を批判しているが、今ご存命なら『衣装のこことここが解れていますと気楽に公表出来る。weblogがあれば良かった』と仰るかも知れない。
梅田氏の金子先生贔屓自体には御賛同申し上げており、「(愛弟子でもある)山田先生への贔屓に発展して下されば」と勝手読みしている次第だ。

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コメント

>現在の銀河戦予選ではどうなのでしょうか。
旧銀河戦には色々しこりがありますが(苦笑)、暗渠に押し流して回答致します。
当時は時間切れ負けが散見されました。現在は切れる迄は記録係がchess clockを押し、後はstop watchで秒を読んでくれます。自己操作時代は立会人が大部屋に01人配置されていましたが、今後TV予選だけでも「記録係操作&立会人方式」を導入すべきかも知れません。費用が問題になりますが、「国際普及に備えた対局運営方式整備」を口実に普及協力金を流用出来ないかと思いますし、某理事にその様に具申致した事もあります。

対局とチェスクロックの話が出てきたので
教えてください。

先崎八段が将棋世界で連載していたエッセイを
まとめた「フフフの歩」において
・非公式戦時代の銀河戦予選は記録係がいなくて
 棋士個人がチェスクロックを押していた
・そのためか、当時現役だった丸田九段が
 チェスクロックに十を読まれてしまい負けに
 なった
ことが書いてありました。

現在の銀河戦予選ではどうなのでしょうか。
窪田六段も非公式戦時代の銀河戦に参加していた
時もやはりそうだったのでしょうか?

>チェスクロックを対局者自らがおす、ということで
明記していませんが【プロの秒読み(せんすぶろぐ02/05)】http://2.suk2.tok2.com/user/sensu/?y=2007&m=02&d=05&all=0に刺激を受けたentryですので、ご意見は拝見しています。
私の論説は、自分自身の所作のみに関する結論となり明快さを欠きました。補足すれば、対局時計を自分で押す場合の問題点は(記録係の有無に関わらず)詳説しています。棋士や女流棋士に対しては指導より自覚を促すべきですが、自覚が固まっても切羽詰まった状況では不安があります。私も(枢要な対局で考慮時間迄使い切ってしまった状態で)着手開始寸前に誤算に気付いたとなれば、絶対の自信はありません。
TV対局で怪しい状況をお見せしない為、惹いては国際化の為には規則の明確化が決め手ですが、日本文化の一員としてchess界の流儀と一線を画した形が望まれます。

せんすぶろぐにも書きましたが、チェスクロックを対局者自らがおす、ということで解決にならないんでしょうか。(=自己責任?)
現行方式を踏襲するのであれば、奨励会員への指導だけではなく、棋士の皆さんが「58、59・・・・・」となった瞬間に潔く投げる、こともご指導されるべきかと。

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